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【新刊紹介】本居宣長 「もののあはれ」と「日本」の発見 先崎彰容著

令和6年09月16日付 6面

現在の思想史学や 文学研究を踏まへ

 本書の副題を私的に言ひ換へるなら、「関係の倫理学者本居宣長の誕生」とでもならうか。小林秀雄が『本居宣長』の冒頭、折口信夫から「宣長さんは源氏ですよ」と言はれた話を枕にしてゐる意味を、現在の日本思想史学・日本文学研究の成果を踏まへて、学問的に跡付けたことにこそ意義がある。

 折口も『源氏物語』の古層に注目した点、宣長の系譜にあることの重要性を改めて確認して、小林秀雄にまで及ぶ、日本論の系譜をも浮かびあがらせた点、射程距離も長い。

 本書は今まづ読むべき宣長入門書と言へるのである。
〈税込2090円、新潮社刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉
(防衛大学校教授・井上泰至)
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