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【新刊紹介】「卑弥呼の鏡」が解く邪馬台国 安本美典著

令和6年09月23日付 6面

独自のアプローチで 邪馬台国を紐解いて

 本書は昭和四十二年に「邪馬台国への道」を発表して以来、独自の邪馬台国論を展開してきた安本美典氏の新著である。邪馬台国の所在地に関しては「畿内説」「北部九州説」の二つがあるが、著者は後者に立ち、さらに「九州にあった邪馬台国勢力が畿内へと遷って大和政権を樹立した」といふ、いはゆる「東遷説」をとる。

 著者は文章心理学で博士号を得たマルチな学者であり、その多才ぶりに熱烈なファンも多い。本書の帯には「半世紀以上におよぶ研究の集大成」と書かれてゐるが、それはあまり正確ではない。斬新な視点が各所に盛り込まれた本書は、常に進み続ける著者にとって、満九十歳となった現在の通過点と呼ぶべきだらう。
〈税込2090円、中央公論新社刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉
(島根・小田神社宮司、島根県立古代出雲歴史博物館学芸企画課長 松尾充晶)
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