【新刊紹介】今さらだけど「人新世」って? 知っておくべき地球史とヒトの大転換点 古沢広祐著
令和7年01月20日付
6面
人類の「現在地」 複眼的に読み解く 「人新世」とは人類が地球に深刻な影響を与へてゐる現在を示す新たな時代区分である。地質学の分野で今世紀初頭に提唱され、近年さまざまな分野で目にするやうになった。本書は環境や共生社会の専門家であり、元國學院大學経済学部教授で國大共存学プロジェクトにも永年関はってきた著者が、人新世を分かりやすく解説しつつ、人類の現在地を複眼的に読み解いたものである。
道具の拡張の多くは自然を人間の恣意によって変化させることを目的としてゐた。結果として人類は限界を超えた開発行為によって地球そのものを破壊しつつある。もしそれが「人新世」なのだとすれば、当然、神道人は警鐘を鳴らすべき立場であらう。破壊の爪痕しか残せない人類が地球の「主役」だとは思ひたくない。
〈税込1760円、WAVE出版刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉
(茨城・常陸國總社宮禰宜、東京外国語大学特別研究員 石﨑貴比古)
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