【新刊紹介】「信教の自由」の思想史 明治維新から旧統一教会問題まで 小川原正道著
令和7年02月03日付
6面
政教関係の議論で 活用期待される書 日本政治思想史を専攻する著者は本書で、明治維新から現代に至るまでのわが国の「信教の自由」の歴史を整理し、「信教の自由」を国民自身が国家や教会と戦って獲得した西洋とは異なり、政府が主導してきた日本では「信教の自由」の内実やその是非の判断ですら行政機関に委ねてしまふ文化が存在すると指摘する。その上で、今後は「行政依存」から脱却し、民間の第三者機関を設置するなど民主的統制の道を摸索すべきではないかと問題提起をしてゐる。
丹念な史料の読み込みに裏付けられた労作であって、今後の議論において参考資料として広く活用されていくことが期待される。
〈税込1925円、筑摩書房刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉
(静岡・秋葉山本宮秋葉神社権宮司 河村忠伸)
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