【新刊紹介】旅人の食 旅の記録と食風景 山本志乃著
令和7年02月17日付
6面
連動する旅と食 重要性の示唆も このたび『旅人の食』との題名にひかれ、この本を手にした。同書では、旅が今日的な娯楽や消費文化などに収斂される以前の、江戸後期から昭和戦前期あたりまでを対象に、旅人たちが残した記録から拾ひ出したさまざまな旅のありやうと出会った食の風景を、その人の生き方や時代背景とともに紡ぐ試みがなされてゐる。
著者の「食の情報は人の足を動かす。とりわけ過疎化が深刻な地方では、旅行や観光による交流人口の増加に大きな期待が寄せられている。旅と食との連動が、現代社会の新たな課題に向き合ううえでも、重要な意味を持っている」との指摘には思ひを同じくし、刺戟された。神社の教化活動の中で、食の持つ役割の大切さを痛感し、神社と食の関はりを追求していきたい、との思ひにさせる一冊である。
〈税込2640円、教育評論社刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉(滋)
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