論説
神社庁研修所研究会 研修のさらなる充実に向け
令和8年03月23日付
2面
神社庁研修所研究会が三月十二日に神社本庁で開催され、全国各地の神社庁研修所の主任講師・訓育主任をはじめ、講師・講師予定者や神社庁参事・事務担当者などが参加した。
神社庁研修所の運営に係る研究会は、これまで主任講師の委嘱期間である三年に一度を目処として「神社庁研修所主任講師・訓育主任研究会」が実施されてきた。今回より神社庁研修所に関する課題をより幅広く検討する場とすべく、名称を「神社庁研修所研究会」と改めて開催。初任神職研修における「神宮に関する講義」の教授方法の確認と、適切な中堅神職研修カリキュラム編成の周知徹底を目的とした。
第六十三回神宮式年遷宮の諸祭・諸行事が始まるなか、「神宮に関する講義」を主題としたことは時宜を得たものといへよう。研究会の成果が、神宮に関する正しい知識の修得、神宮崇敬の念の涵養、ひいては遷宮奉賛に向けた活動のさらなる推進にも繋がっていくことを期待したい。
○ 初任神職研修は、「新たに任用された神職に対し、神社本庁・神社庁の組織を明確に認識せしめ、本庁包括下の神職としての自覚と連帯感を養ふことを目的とした研修」である。このうち「神宮に関する講義」は、平成十五年の研修制度の見直しにともなひ新たに設けられた科目で、「神宮に関する基本的な知識を講説し、神社本庁が神宮を本宗と仰ぎ、奉賛の誠を捧げる所以を明らかにするとともに、神宮大麻・暦の頒布、参宮の促進、式年遷宮の奉賛・啓発の活動が、神職としての使命であることを自覚せしめることを目標」としてゐる。
初任神職研修ではこのほか、「神職奉務心得」「神社本庁史」「祭祀関係実技」「神社実務」などが科目として設定されてゐる。いづれも養成機関で学んできたことの単なる復習といふことではなく、本庁包括下の神社において任用された神職が理解・修得しておくべき必須の内容ばかりといへよう。任用後の速やかな受講の徹底はもちろん、今回の研究会で取り上げた「神宮に関する講義」をはじめとする講義内容の一層の充実、さらに将来を見据ゑた講師の養成を切に望むものである。
○ 神宮については、本庁憲章第二条に「神社本庁は、神宮を本宗と仰ぎ、奉賛の誠を捧げる」とあり、また庁規第七十三条には「伊勢の神宮は、本庁の本宗として奉戴する」と明記されてゐる。これに基づき、斯界では神宮大麻・暦の頒布や参宮促進、式年遷宮の奉賛・啓発などの諸活動に邁進してをり、神社本庁における最も重要な事業の一つが本宗奉賛活動であるといへよう。この所以を理解するためには、戦後設立された神社本庁が神宮を本宗と仰ぐに至った経緯だけでなく、神宮の創祀以来の歴史や式年遷宮の制度といった神宮に関はる基本的事項、さらには皇室による御敬神などについても十分に知識を深めておく必要がある。
平成十五年の「神宮に関する講義」の新設に際しては「神社庁研修所科目別研究会・事務長会」や「『神宮史概説教授要領』及び階位検定講習会担当者研究会」が開催され、教授法の指導等がおこなはれた。それから二十年余を経るなかで、斯界内外の状況は大きく変化してゐる。今回の研究会を契機にこれまでの成果と課題を検証し、今後のあり方を考へていくやうなことも重要だらう。
○ 初任神職研修において、「神宮に関する講義」に充てられる時間は、わづか三時間。その限られた時間で、いかに神宮に係る要点を教授するかに講師たちは苦慮してゐる。今回の研究会における教授法の講義や、講師それぞれの工夫などに関する情報の共有は、とても有益なものだっただらう。
また、先述の「『神宮史概説教授要領』及び階位検定講習会担当者研究会」では、現在も「神宮に関する講義」の参考書として広く活用されてゐる『神宮史概説』の著者・鎌田純一皇學館大学名誉教授が講義。「時代を越えて神宮に奉仕してきた人々の姿を通して、神職として不変の精神である『誠』を如何に伝へるかがもっとも肝要」「単なる知識の詰め込みではなく、神職が奉仕する上での信仰の基礎となるやう教へていただきたい」と語ったといふ。
神宮に関する基本的な知識の講説などはもとより、かうしたことにも改めて留意しつつ、「神宮に関する講義」の充実を期していきたいものである。
令和八年三月二十三日
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