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蚕の神々 椎橋幸夫著

令和8年05月11日付 6面

目を向けて知ってくれ 蚕神像を収めた写真集

 このたび、国書刊行会から、養蚕の守護神として祀られてきた神々を紹介する写真集が刊行された。その名も『蚕の神々』。あまりに直截で武骨な書名ではある。だが、近代日本の一大産業であった生糸生産を支へた養蚕の火が消えかかり、ましてやそこで祀られてゐた神々のことなど露知らずといふ時代に抗ふ、どっこいここに居るのだぞといふ神々の叫びが聞こえて来さうな気がする。
 その叫びが、聞こえたといふことだらう。著者である写真家の椎橋幸夫氏は、双体道祖神を追ひ続けてゐた平成五年五月十六日、長野県上伊那郡辰野町で一体の蚕神石像と出会ひ、それを契機に各地の蚕神像の調査と撮影を始めたのだといふ。その地道な活動の成果である本書には、総計二百六十四もの蚕の神々が収められてゐる。

文化が今、忘れ去られようとしてゐる。それで良いのか? しっかりと目を向けて知ってくれ、といふ叫びが聞こえて来さうな一冊である。
〈税込6380円、国書刊行会刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉
(國學院大學兼任講師・島田潔)
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