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論説 第一次お木曳行事 神宮崇敬の裾野拡大に向け

令和8年08月10日付 2面

 第六十三回神宮式年遷宮における諸祭・諸行事の一つ、第一次お木曳行事の全日程が終了した。
 お木曳行事は、社殿等の造営に用ゐられる御用材を皇大神宮(内宮)・豊受大神宮(外宮)それぞれの神域内に運び入れるもの。五月九日から六月十三日までの外宮での陸曳と七月二十五日から八月二日までの内宮での川曳を合はせ、約三カ月間に亙った期間中、週末を中心に神都・伊勢は大いに賑はひを見せた。とくに今号掲載の通り、最終日の八月二日には敬宮愛子内親王殿下が川曳を御視察。また陸曳では地元の旧神領民に加へ、全国の神社関係者等も特別神領民として奉仕してゐる。
 まづ以て、大きな事故などもなく第一次お木曳行事が盛大に執りおこなはれたことを慶びたい。


 お木曳行事にあたり、地元の旧神領民らは各町会などを中心に奉曳団を結成し、それぞれ御用材の奉曳にあたった。少子化・高齢化が進む町会もあるなかで、町会同士の連携や縁故者の協力など、さまざまな工夫のもと伝統行事の継承が図られたといふ。
 また市役所や商工会議所・観光協会などの関係諸団体では「特別神領民受入実行委員会」を組織し、神社本庁・神道青年全国協議会・皇學館大学・伊勢神宮崇敬会なども参画のもと、特別神領民受入事業「おもてなし」を実施。事前の準備をはじめ、当日の出迎へ、誘導・警備や給水・救急の対応といった各種支援に従事した。このうち皇大の学生はお木曳行事後の正式参拝の誘導などに携はったと聞くが、さうしたことは学生にとって貴重な経験になったのではなからうか。奉曳を終へた特別神領民からは、二十年に一度の式年遷宮における特別な行事に参加できたことの感激に加へ、出発地での歓迎ぶりや丁寧な接遇など、現地での「おもてなし」に対する感謝の言葉も聞かれた。
 かうした成果に基づき、式年遷宮とともに続けられてきた伊勢の伝統行事が、さらに将来に亙って継承されていくことを切に願ふものである。


 神社本庁の鷹司尚武統理は本紙掲載の田中恆清総長との対談のなかで、「募財には協力してくれた人でも、例へば、今回もお木曳行事とか、お白石持行事とか、みんなが参加する行事にはあまり関心を持たなくなって、会社を休んだり、あるいは休日を使ったりして参加するといふことが減ってゐるのではないかと懸念してゐます」との思ひを披瀝。「前回の遷宮でせっかく教宣活動、広報活動をやって、遷宮や神宮に対する理解が深まり、より親しまれるやうな雰囲気になってゐたのが、次の遷宮になると世代交代してゐて、また一からすべてやり直さなければならないといふことになると、それはちょっと心配ですよね」と語ってゐる(五月十一日付、第三七七五号)。
 地元・伊勢において式年遷宮は、市や町会など地域の歴史と重なり合ひ、また住民それぞれの人生のなかで記憶に刻まれながら、歳月・世代を超えて受け継がれてきた。また斯界においても、例へば前回・前々回の式年遷宮を含め、複数回に亙って特別神領民としてお木曳行事に参加してゐるやうな神社関係者も少なくない。
 さうした一方で一般においては鷹司統理が危惧するやうに、二十年といふ式年遷宮の周期にともなひ常に世代交代が進んでいくなかで、いかにして遷宮奉賛の心を次世代へと確実に継承していくのかが課題といへよう。


 すでに七月一日から、来年執りおこなはれる第二次お木曳行事の参加者募集が始まってゐる。
 二十年に一度のお木曳行事への参加は、遷宮奉賛の心を継承していく上でかけがへのない貴重な機会といへる。加へて、平素から重要となるのが家庭での神宮大麻の奉斎と実際の神宮参拝であり、斯界が遷宮奉賛・神宮大麻頒布・参宮促進を神宮奉賛の三本柱と位置付けてきたのも、さうしたことを踏まへたものであらう。
 国民総奉賛による遷宮完遂はもとより神宮崇敬の念の裾野拡大のため、引き続き例年の神宮大麻の頒布や平素からの参宮促進に尽力したい。そして今後始まる式年遷宮の募財活動を見据ゑつつ、来年の第二次お木曳行事が全国からより多くの特別神領民の参集のもと、さらに盛大に執りおこなはれることを期待するものである。
令和八年八月十日

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